2007.10.01.(月)
映画「エディット・ピアフ」

 

映画「エディット・ピアフ、愛の賛歌」。

私はピアフのシャンソンが大好きだ。映画は

彼女が下町の大道芸人の父親や娼家の祖母の

下の幼時から栄光の中にも拘らず孤独の晩年

までの、奔放にして小心、波乱万丈の生活を

扱っている。現在と過去をモザイク状に交錯

させる手法により彼女の内面の悩みを描く。

私はピアフの喉を転がすような独特の歌唱が

好きだ。主演したマリオン・コティヤールの

ピアフになり切った演技がよかった。単なる

伝記でなく心の軌跡の表現が良い。

夕方はインフルエンザの予防接種に三輪医院

に行く。先生は先日劉君が不眠について相談

に伺った際も懇切丁寧に指導していただき、

薬ではなくまず生活を整えることが大事だと

いうことを懇々と諭して下さったのだった。

 

 

2007.10.02.(火)
ゴルフもやらねばならない

 

先日の「初段にする会」でゴルフもしようと

いうことになったので大変だ。久しくゴルフ

から遠ざかっていたので復活練習しなければ

ならない。ゴルフは静止状態から過去の最高

のショットを頭に描いて打つのでほとんどの

ショットは不満足だ。実力の上り調子の時は

楽しかったが今は気力も減退してしまった。

実はだいぶ昔、相模でプレーした折に同伴の

池田武邦氏らが内田氏のゴルフを見かねて、

「内田祥哉に50を切らせる会」を作ったの

だが即座に内田氏は「鈴木成文を初段にする

会」を提起したのだった。幸か不幸か20年

たった今も両会とも存続している。久しぶり

に梅郷コースに出かけ練習場だけで打った。

アイアンはほぼ真っすぐ飛ぶがウッドはミス

ばかりだ。体力だけでなく勘も衰えた。

 

 

2007.10.03.(水)
沖縄集団自決の検定に関し

 

太平洋戦末期の沖縄の地上戦で民間人の集団

自決に軍の強制や誘導があったとする教科書

表現が文科省の検定により削除されたことに

対し、その撤回を求める沖縄県民大会に何と

11万人が結集した由。これに対し文科省は

記述復活への見直しを始めたし、今日は沖縄

県知事が文科相を訪問して申し入れをした。

ただこれは検定意見撤回で済む事だろうか。

これまでも検定という権力を笠に着て自由な

表現をずいぶん圧殺して来た。この際、自決

問題だけでなく教科書検定のあり方そのもの

をマスコミは問題にするべきだろう。そして

集団自決についての軍の関与は多くの体験談

が広く報道されていたのだから、削除意見を

下した検定官の責任が問われるべきだし更に

これは犯罪かも知れぬとさえ思われるのだ。

 

 

2007.10.04.(木)
文文会奨学金ニュースの発行

 

「文文会留学生奨学金ニュースレター」は年

に2回発行するが、No.11を作成し支援して

下さった方に配布するよう準備した。次第に

支援の輪が拡がって今回は約170通を発送

するが「○○年卒有志」などの寄付もあって

実質は200名近くの方が支援して下さって

いるのだろう。一口を2千円としたので若い

卒業生からの協力も少なくないが、更に学内

教職員や関係者のみならず学外者からの支援

も多い。若い人の交流を通じて国と国の親密

な関係を育てようというこの奨学金の趣旨に

共感して下さる方のメッセージが多いのだ。

私としても個人単独で支援するより大勢の方

に留学生支援と若者の国際交流に関心を寄せ

て頂く運動と考えている次第だ。ニュースの

発送には劉君が進んで手伝ってくれた。

 

 

2007.10.05.(金)
休み

 

 

 

2007.10.06.(土)
小林秀樹氏学会賞記念シンポ

 

小林秀樹氏建築学会賞受賞記念シンポジウム

「建築計画と不動産制度を連携させた新しい

分野の発展を考える」が千葉大で催された。

小林氏の講演は大学院生時代のなわばり研究

から説き起こし開放的な住居を作るためには

間口の広い住居、それには不動産制度に挑戦

したとの説明、建築家による優れた設計など

には敢えて触れず都合のよいところを拾った

論議は若い学生などに対する大きな説得力と

なろう。私はその論議の巧さを褒めた。後半

のシンポジウムでは千葉大安藤正雄氏の敷地

境界の概念、チームネット甲斐徹郎氏の既存

敷地の自然保護に関する自らの事例の紹介等

いささか集中を欠いた。学生達への助言をと

問われて現代社会の市場原理任せの間違った

動向を直視する世界観を、と答えた。

 

 

2007.10.07.(日)
至民中学現場/文文会FUKUI

 

福井私立至民中学校建設現場視察と「文文会

FUKUI」に招かれ福井へ。福井駅で元書生の

奈奈と東京から参加の阿部智子さん、内装材

トミタの丸山智恵子さんの出迎えをうける。

現場は丘の上の堂々たる佇まい。遠望もよし

教室から街への眺望も良い。教科センターの

教育の新しさとプランの対応、斬新な構造、

自然と身近に接する環境など、福井市の自慢

の中学校となるだろう。その後三国まで足を

伸ばして町並みと民家を見たがボランティア

の90歳の案内人が喜んで説明してくれた。

夜は魚屋「山仁」二階座敷で文文会 FUKUI。

市役所勤めの野田氏はお祭りの準備、福井大

原田さんは出張中で残念だったが、阪田氏と

プロダクト出身岸上氏が参加、豊富な刺身と

魚料理とお酒を囲んで賑やかに語り合った。

 

 

2007.10.08.(月)
塩沢氏宅現場/かやぶきの里

 

塩沢実氏の企画の茅葺き体験イベントに参加

予定で奈奈の車で阿部さん丸山さんと出たが

生憎の小雨で茅葺きは中止、彼は参加の学生

たち15人を連れ茅葺きの里「北村」を見に

行った。我々は建設中の塩沢氏宅をゆっくり

見る。昨日・一昨日と体験イベントで葺いた

が漸く軒先2尺ほど、まだ大分掛るだろう。

今月末に同級生の庄司純子さんと結婚し来年

から住む予定だというが…。神戸育ちの純子

さんが具合よくここに馴染めるのだろうか。

北村で塩沢氏ら一行と合流、藍染作家の家の

大きな茅葺の屋根裏で彼は一同に茅葺造りを

説明中、ヨーロッパの茅葺とも比較して正に

彼の独壇場だ。一行と別れて昼食し敦賀へ。

気比神社、気比の松原に遊んだのち、夕方の

北陸線、米原から新幹線で帰京した。

 

 

2007.10.09.(火)
中国映画「白い馬の季節」

 

中国映画「白い馬の季節」岩波ホールにて。

以前は豊かだった内モンゴルの草原が気候の

変化と農業化により砂漠化が進み、遊牧民の

生活が危殆に瀕し都市への移住を強いられて

いる。教育費が払えず子供が学校に行かれぬ

悩み、ジンギス・ハーン以来の光輝ある伝統

を守って草原に固執する主人と現実に柔軟に

対応しようとする妻、地球温暖化による環境

の変化、都会と地方、人間の心意気、慣習と

法規などの問題を織り交ぜ、筋も画面も素直

にしかも美しく仕上がった良い映画である。

草原の自然を謳歌するだけでなく、現代社会

の矛盾をテーマにした企画が好ましい。

帰りのエレベーターで偶然、神戸芸工大環境

事務室に居た田島美恵子さんに逢い、お茶を

共にして芸工大の素晴らしさを語り合った。

 

 

2007.10.10.(水)
ゴルフの練習打ち

 

まだ1ヶ月以上も先だが「内田祥哉に50を

切らせる会」に備え野田コースに練習打ちに

出かけた。クラブに置いているヤスダモデル

と長年愛用したウィルソンのサム・スニード

モデル、数年前に新調したカーボンシャフト

のヨネックスを打ち比べてみた。前の2者は

スティールシャフト、ヘッドはヤスダモデル

がヒッコリー、サム・スニードが集成材だ。

そんな古典的なものを使わなくてもと笑われ

ヨネックスを買ったのだった。新しいクラブ

は飛距離が出るというが、結局どのクラブも

芯に当たりさえすればいい。打ち易さ難さは

心理的問題だと悟った次第だ。ウッドに比べ

アイアンはほぼ真っすぐに飛ぶ。アプローチ

もピッチとランを練習、心地よく体を動かし

た午後の3時間であった。

 

 

2007.10.11.(木)
「タンホイザー」を観る

 

岡田新一氏夫人から「タンホイザー」の券を

戴いたので喜んで在塚礼子さんと観賞した。

新国立劇場開場10周年記念と銘打ち豪華な

舞台である。私はワグナーの長大重厚な音楽

をこれまで敬遠していたが大いに楽しんだ。

断片的には親しんでいる曲だが全体を通した

舞台は初めて。筋は極めて単純、キリスト教

的精神性と人間的官能世界の対立でワグナー

という人は思想的には単純な人間だという事

が分かる。それにしても音楽と歌唱の圧倒的

な洪水でワグナー歌手は正に体力が必要だ。

斬新な舞台装置もこの劇場の機構を活用して

見事。歌合戦とは歌唱の優劣を争うものかと

思っていたが論理問答だと知った。すっかり

良い気分で終ったが新国立劇場は帰途に一杯

飲むところがないのがいささか寂しい。

 

 

2007.10.12.(金)
篠原『住まいの境界を読む』

 

明日からの木葉会・早苗会テニス対抗戦参加

に信濃追分へ。東大・早大建築学科の対抗で

戦後から約50年間の歴史がある。夕方山荘

に着いたが室内気温14度、暖炉を焚いた。

篠原聡子『住まいの境界を読む』を読んだ。

ハウジング・スタディの『韓国現代住居学』

から両班「宗家の住まい」の図を提供したの

だが、第1章の最初の載っている。この本は

実に良い。全体を通じた視点が確かでしかも

文章が巧い。住まいの境界を主題にしている

が自ら設計した住宅と他の数点の集合住宅の

フィールドワークを紹介しつつ、生活空間を

周りに開くことを主張して、我々グループの

理念とも合致する。これまでは住居に関する

本で共感するものが少なかったが、しっかり

した良い本が出たのが嬉しい。

 

 

2007.10.13.(土)
脚がダメだし息が切れる

 

木葉会・早苗会対抗テニスは今日は練習日。

のんびり起きて昼過ぎに歩いて町営グランド

へ出かけたが、右脚が疲れるし息が切れる。

ほんの20分の道を何度も立ち止まって息を

整え難儀した。すっかり老人歩きになった。

コートはクレーで状態は良い。東大高田先生

と10分ほど打ったが右脚が草臥れるしそれ

以上に息が上って続けられない。去年の試合

からまる1年ラケットに触りもしなかったの

だから当然だが、すっかり下手になりまるで

初心者並みだ。好天に恵まれ結構暖かかった

が夕方は流石に冷える。ひと頃に比べ参加者

が少なくなったのが寂しい。コンパの最中に

脚が攣って皆に揉んで貰う羽目になる。明日

の試合に果して出られるだろうか。11時に

タクシーで山荘に帰った。

 

 

2007.10.14.(日)
私は惨敗、鈴木杯はピカピカ

 

今日も好天、木葉会小倉・寺尾・吉田氏ら、

早苗会も村山氏ら数人が見えやや賑やかに。

高田先生と組んで対戦し、私には打ちやすい

球を返してくれるのにやっと1セット頂いた

だけ。OB浜田杯は人数不足の不戦敗もあり

早苗会に、現役のガラス製吉阪杯は木葉会、

ミックスダブルスの鈴木杯は高田先生・浅井

さん組に、参加者の年齢総計を競う尾島杯は

私1人で学生3人分を稼いだのだが 447-

490で早苗会に渡る。中堅OBがもう1人

来れば勝てたのだが…。ただしこの杯はバカ

デカく持ち帰りに苦労だろう。三つ組銀杯の

鈴木杯は春に獲得した神田先生が磨いてピカ

ピカに光っていた。円満さんの車で山荘まで

送って貰い、夏の台風で屋根に積もった大量

の枯枝と落葉を掃き、夕方の新幹線で帰京。

 

 

2007.10.15.(月)
追分の倒木を暖炉の薪に

 

東京も秋風が吹き気持ちよい季節になった。

電動草刈機で庭の伸びた草を刈ってみた。

昨日の信濃追分では、夏の台風で倒れた松の

大木がまだ処分されずそのままの姿を保って

いた。屋根に直撃はされず途中の桜の木の枝

に支えられているので別に急ぐ必要はないが

処理の際に適当に短く切って貰い暖炉の薪に

するのがよかろう。その旨を堀内さんに手紙

で頼んだ。尤も根元で直径40センチ、丈は

20mもあるから全部を薪にする必要もなさ

そうだ。残りは敷地内に適当の転がして土に

返せばいい。輪切りにして貰ってもその太さ

を鉈で割るのは無理だから、薪割りを求める

必要がある。これは又体力勝負にもなろう。

腰を痛めぬよう注意しなければならぬ。来年

はいろいろ力仕事ができて面白そうだ。

 

 

2007.10.16.(火)
国際貢献とは何か

 

インド洋での米艦への給油を巡り国会が対立

している。国連決議に基づいているか否かを

問うているが、何がいちばん大事かを考えて

対処すべきだ。テロ封鎖のための洋上監視と

言うが何故テロが発生するのか、その原因を

追及すべきだ。何故米国がテロの標的になり

米国への協力国が嫌われるのか、それは米国

の中近東政策に依ることは明白だ。ただテロ

を抑え込もうとすることは医療で言えば対症

療法に過ぎない。根本原因の除去に努めねば

ならない。幸いにも日本は米国に親しい国と

されているし同時に軍事力抛棄という世にも

稀な憲法を持つ地球上唯一の国だ。この特色

を活用し米国のアラブ敵視政策を変えさせる

様な外交努力をこそすべきだ。それこそ日本

に最も相応しい国際貢献だろう。 

 

 

2007.10.17.(水)
天坂さん手製のバッグを戴く

 

今年の夏の暑さは異常だったが今は一年中で

でいちばん良い季節、まことに心地よい。

使い慣れた布製バッグのファスナーが駄目に

なって修理して貰おうとしたら馬鹿高いので

新しく買ったほうがいいと探しているのだが

なかなか見付からない。A4が入り、軽くて

薄く他の鞄の中にそのまま入るので便利だ。

先日土曜の会にも来たファッションデザイン

の天坂さんが探してみましょうと寸法をとり

簡単にスケッチしたが、どうも見当たらない

ので手作りで申し訳ないがと送ってくれた。

申し訳ないどころかもったいないくらいだ。

以後、これを持って出かける度に彼女の笑顔

を思い浮かべる。ファッション出身者は衣服

だけでなくこんな物も自分の手で作れるのか

と感心した。嬉しい神戸芸工大卒業生だ。

 

 

2007.10.18.(木)
シーラカンスのミニ集合住宅

 

シーラカンス設計の下目黒の小さな集合住宅

を見る。彰国社の要請で幾つかの集合住宅を

見て夫々の設計者と対談して呉れとの注文、

つい引受けたがこれは私には不向きだったと

後で気づいた。現場では小島さん赤松さんが

二人で案内してくれる。集合とは言え4戸、

不整形敷地に巧みにはめ込み、半地下を含め

2層の住宅が巧みに重なり夫々の住戸に直接

アクセスする。いわば戸建住宅の集合、3枚

の構造壁が内部に立ちあとは住み手が自由に

工夫して住んでくれという寸法。天井も壁も

硬く真っ白、浴室も便所も透明ガラス張り、

要するに一般受けは考えず、これを好む人も

居るに違いないという考えだろう。何も置か

ない真っ白な空間の光の具合が実に良い。物

を持たず独りで裸で住むのに良さそうだ。

 

 

2007.10.19.(金)
梅郷コースの下見を兼ねて

 

近々内田氏らとゴルフをするので、数年間も

遠ざかっていた千葉カントリー梅郷コースの

下見を兼ねて出かけた。近頃右の脚が弱って

来たのでラウンド出来るかどうかのテストの

意味もある。ゆっくり着いたらたまたま組む

相手がなくてセルフで廻ることになったが、

カートを引くと脚への負担も大きい。2・3

ホール廻ったところで後から来た法政大学の

女子学生と一緒に廻ることにしたが、流石に

基本に忠実なフォーム、ドライバーは約40

ヤードも置いて行かれる。午後はまた独りに

なった。14番辺りで雨がパラつき出したら

ハウスから軽トラックで傘とビニールカッパ

を親切にも届けに来てくれたが、脚も疲れた

ので切り上げその車に乗せて貰ってハウスに

戻った。脚はまぁまぁラウンド出来そうだ。

 

 

2007.10.20.(土)
絹シケ/夏蜜柑の楽しみ

 

座敷の襖が移築した60年前に張替えたまま

で傷んだ個所もあるのでこの際張替えようと

思った。先日の「文文会FUKUI」の席上

内装材トミタ丸山さんから「絹シケ」という

新製品をさかんに勧められたのでお店に見に

行ったが、流石に絹では上品過ぎる。現状の

葛布が年月を経て良い色になっているので、

このままでも良さそうだと考え直した。

北隣の敷地の大きな夏蜜柑の木の枝が伸びて

落ちてくる実で毎年マーマレードを煮るが、

去年は不作でほとんど実らなかった。今年は

豊作で見えるだけでも30個はあり、葉の陰

のを加えれば優に50個は有ろう。まだ青い

が年が明けるころには色づいて自然に落ちて

来る。今年はマーマレードをたっぷり作って

親しい方々にお分け出来そうだ。

 

 

2007.10.21.(日)
パソコンの旧かな不便

 

私は論文や通知文は新かな横書きだが親しい

人への手紙はおおむね縦書き旧かな、以前は

毛筆で書いたこともあるがその後は万年筆を

使っている。先日は小学校同窓会の今年度の

幹事として案内状を出すにあたり、相手は皆

同年齢の80歳だから旧かなで出して見よう

と考えた。ところが私のパソコンの Mac で

わ行の「を」は出るがwiをインプットして

も「うぃ」、weは「うぇ」になって「ゐ」

「ゑ」は出ないのだ。文字のソフトの種類に

よるのかも知れないが、旧かなを完全に追放

する積もりなのか。日本語文化にとって由々

しき問題だ。試しに古いパソコンのOS9.3

で打ってみたらwi,weで「ゐ」「ゑ」が

出たのでこの文字を新しいパソコンに移した

が、ヴァージョンアップも困りものだ。

 

 

2007.10.22.(月)
季節/『文文日記』の校正

 

つい先ごろまでは賑やかだった庭の虫の声が

寒さと共にややか細くなった。季節は回る。

私の身体も、右脚に疲れが出るし息が切れる

ようになった。年齢も確実に回っている。

『文文日記』を本にするのは毎年のこことて

アート印刷は手慣れているので、ウェブから

ダウンロードして校正刷りを作ってくれる。

もう9月分も送られて来てこちらが追われる

態だ。だがHPでヨコ書きのものをタテ書き

の印刷にすると微妙に感じが違って、表現を

少々直したくなる。1ヶ月30日の3分の1

ほどの日の文章には赤を入れることになって

しまう。タテ書きとヨコ書きの違い、ウェブ

のモニター画面と本の紙面の違い、案外これ

は大きいものだと実感させられる。スケッチ

と文の対応のページ割りも結構難しい。

 

 

2007.10.23.(火)
「くらし・すまい塾」

 

今日は塾生4人の各自の研究や活動の紹介。

テーマは全く区々だがそれなりに面白い。

大阪市大M2の坂内陽子さんは市街化区域と

市街化調整区域の線引き廃止に伴う土地利用

動向の調査、だが廃止の意図と研究の姿勢が

私は理解出来なかった。同D2趙ミンジョン

さんは住居・建築系学科の女子卒業生の男女

共同参画に伴う仕事と生活の丁寧な調査で、

各人の生活歴の比較が興味深い。NPO法人

ワンネス勝部嘉樹氏は健康を育む要素を独特

の哲学で解説、対症療法でなく行動、呼吸、

意識、人間関係等の大事さを説き私は大いに

共感した。兵庫県立人と自然の博物館の藤本

真里さんは公園博物館運営に住民参画の導入

の貴重な体験を披露。夫々主題は異なるが実

のある発表で時間の不足が惜しまれた。

 

 

2007.10.24.(水)1
田中遵氏の博士請求論文

 

博士請求論文事前発表会を聴く。社会人入学

D3田中遵氏は「公共空間への芸術的要素の

設置手法に関する研究」。パブリックアート

と言われるものだが敢てそう言わない。全国

アンケート調査による概観ののち旭川・神戸

・十日町につきモデル分析をしている。本来

地域性・場所性による違いが大きいと思われ

るが結論が一般論になっているのが残念。

論文発表の合間に吉武ホールを覗く。NHK

TV土曜連続ドラマ「ジャッジ−島の裁判官

奮闘記」に長濱准教授と学生たちが制作した

大きな模型が重要な働きをし、長濱氏も学生

も出演している。ドラマ映像の映写は終って

いて見られなかったが、監督のトークはこの

の模型に感動した樣が語られていた。27日

午後9時からの第3回は是非見たい。

 

 

2007.10.24.(水)2
戸田ツトム氏の博士請求論文

 

再び博士請求論文会場に戻る。ヴィジュアル

デザイン学科戸田ツトム教授「シンボルから

陰影へ−グラフィックデザインにおける象徴

表現への批判と諧調表現の近代史」の論考。

中世キリスト教絵画が主題の象徴を主軸とし

ダ・ヴィンチの自然科学的客観性による細部

に亙る現実感の追求に対し、レンブラントや

フェルメールの粗い筆致は絵画を鑑賞する者

の視覚を媒介として陰影を表現し諧調表現を

浮上させた。これが更に斑点やちりめん皺へ

と分解した諧調表現を生み、網点という現代

の印刷技術に繋がるとの論。グラフィック・

デザインにおけるシンボル表現への依存性に

対し心地よさや質感の獲得の諧調の重要性を

主張。面白い論だが「名証しがたい不確定さ

を容認しつつ…」と本人も前置きしている。

 

 

2007.10.25.(木)
胃の不調

 

昨日の朝は起きる前から背中の節々に疲れを

感じたが、朝食にパンとミルクを摂ったあと

大学へ行っても一向に腹が空かない。昼食を

抜き論文発表を聴いた後も不快感は去らず、

胃が動いてない感じだ。帰宅して早く寝たが

今朝もその状態が続く。東京の医師三輪先生

に電話し胃を動かす薬の指示を得たが、薬局

まで歩いて行く元気がなく、大学の保健室で

海部さんが親切に対応してくださりベッドで

1時間ほど休んだ。毎年1回は起る胃痙攣は

今回は無かったが下痢気味。午後は三上研の

須村さんに紅茶をいただき、一昨日の勝部氏

の健康を育む話や、単に病気のみを診る医師

でなく人間の身体を診る医師の話等を交す。

4時過ぎの新幹線で帰京。早く寝るに限ると

12時前には床に就いた。

 

 

2007.10.26.(金)
三輪医師の解説/弟寧の手術

 

三輪医院へ行く。先生は私の3日間の行動と

症状を丁寧にメモし、触診し聴診器を当てて

胃の不活発を確かめた上、解説して下さる。

下痢なら前日の塾の後の食べ物が何か高齢の

私の体調に合わなかったのかも知れず、胃が

自主的に防御し警告したので正常な反応だ。

なるほど先日の勝部氏の言説にも合致する。

胃を元気づけてやればいい、と。懇切な説明

を聴くとそれだけで安心感も生れる。

弟寧の胆道結石摘出の開腹手術の付添で医科

歯科大附属病院へ行く。午後1時から手術室

に入ったが手術前の麻酔もあり弟道彦と二人

で待つこと延々4時間半、ただ待つのも結構

草臥れるものだ。手術は2時間40分ほどで

順調に終り、大豆・小豆大、米粒大の結石が

15個も取り出された。これでは痛い訳だ。

 

 

2007.10.27.(土)
体操選手権/劉君の友人達

 

全日本体操選手権をテレビで見た。私も中学

で体操をやっていたので一応技が分かるので

見ていて面白いが、昔とは技の種類も難度も

それこそ天地雲泥の差。女子の段違い平行棒

と床運動、2回転や捻りを加えるなど鮮やか

なものだ。男子は鉄棒、平行棒、跳馬を見た

がバーから離れて回転するいわゆる離れ業の

多用など昔は到底考えられなかった。女子は

中学生の鶴見、男子はベテラン富田が優勝。

夜は劉君の志茂ゼミの同期生3人が来訪して

キムチ鍋。今年卒業して東京に勤めた連中で

映像、アニメ、CGの技術に関する愉快げな

会話の内容は私には半分も理解できないが、

その楽しさだけは伝わってくる。明日も仕事

だと言いながら11時過ぎまでゆっくり談話

を楽しんで帰って行った。

 

 

2007.10.28.(日)
ゐ・ゑが出た/映画「めがね」

 

昨日の台風は関東の南方海上を駆け抜けて、

今日は秋晴れ、気温も20度を超した。

先日旧かな「ゐ」「ゑ」がパソコンから追放

されたと書いたが簡単に出す方法があった。

wiでなく単にiと押せば位・伊・医・居…

などの後の方に「ゐ」が出るし、eと押せば

江・画・柄…などの後の方に「ゑ」も出る。

なぜ「を」と「ゐ・ゑ」の操作が違うのか。

映画「めがね」。荻上直子監督の評判の前作

「かもめ食堂」を見そこなったので期待して

観た。南海の何もない島で、ただのんびりと

「たそがれる」人々。何も起らず何物もない

情景。携帯の届かぬ所へとやって来た女性も

次第にそれに同化する。この映画を見たから

といって私自身のたそがれに役立つわけでは

ないが休日をゆったりする足しにはなった。

 

 

2007.10.29.(月)
「紀伊國屋寄席」

 

「紀伊國屋寄席」には阿部智子さんを伴う。

先週の神戸の塩沢君と庄司さんの結婚披露の

さながら同窓会の如き様相を話してくれた。

三遊亭小遊三の出囃子が「ボタンとリボン」

なのは変っている。「引越の夢」を賑やかに

楽しく語った。古今亭菊之丞が巧くなった。

「百川」はポピュラーな演目だがこれを丁寧

に分かり易く面白く語る。トリの入船亭扇橋

「茄子娘」は初めて聴く噺だが、菜にするを

妻にすると取り違えた茄子が女の姿で坊さん

の蚊帳に入って来るとはいかにも艶っぽい。

但しオチがいささかあっけない。

この数日の腹の不調に落語の後の会食も用心

したが、石東さんからは様子を訊ねられたし

健康の話の勝部氏からも注意のメール。良い

医師と親切な友人に囲まれ安心だし幸せだ。

 

 

2007.10.30.(火)1
環境・建築学科卒論発表会1

 

環境・建築デザイン学科卒論発表会を聴きに

朝の新幹線で神戸行き。午前の分は聴かれず

午後のみを聴いた。半年間の研鑽を2分間で

報告するには十分な準備が必要だが、どうも

歯がゆく苛々するものが多い。今年は全般に

低調。だが神戸芸工大では卒論・卒制の両者

を全員に課しているのが良い。論文の執筆は

大学生活での貴重な体験となるに違いない。

東尾道のお大師さんという霊場の研究(安藤

寛起)が良かった。四国の霊場を模したミニ

札所の分布・歴史と、地域開発の伴う変容を

追跡した。ガレージを持つ住宅(安藤由樹)

は面白くなりそうなテーマなのに発酵不足。

コルのサヴォア邸の写真の変遷を社会や建築

思潮の変遷と関係づけた研究(清岡奈緒)も

面白い考察となる可能性あるテーマだが…。

 

 

2007.10.30.(火)2
環境・建築学科卒論発表会2

 

御津町室津の道空間変化(森川悦子)は実態

をよく調査しているので、更に考察の時間が

欲しかった。ネットカフェと釜ヶ崎ドヤ街の

空間特性比較(鈴木真理子)は着想は良いが

分析は表面的だ。戦後初期の簡易平屋テラス

ハウスの神戸市営高丸住宅の住みこなし状態

追跡(北野悦子)も調査したがこれへの自ら

の考察が不十分なのが惜しい。午前の発表で

聴かれなかったものでは、墓地空間の魅力に

ついてのエッセイ(竹原楓子)は所謂客観的

調査でなくでも自らの感想を説得力ある文に

仕上げれば卒論として通用しよう。タイ山岳

民族アカ族住宅調査(下田勇人)は生活採取

の努力を買う。終って皆さっぱりした顏をし

安堵の様子。遠藤ゼミの打上げの鍋に招かれ

学生たちと親しく会話を楽しんだ。

 

 

2007.10.31.(水)
2008年度大学案内に

 

2008年度大学案内を事務局から戴いた。

一見して従来のものと変りシックになった。

頁を開いても全体に写真をややくすんだ色調

に仕上げ、けばけばしい派手な色は一切排除

している。レイアウトも綺麗に揃えていわば

大人の感覚で気持よい。従来のものが他大学

程ではないが高校生向きにと、跳んだり跳ね

たりいささか迎合的なデザインであったが、

今回は若者向きを敢て拒否し本格的デザイン

を指向している様に見える。だが、ちょっと

待てよと考えた。大学案内はいわば高校生に

向けた宣伝媒体だ。その為の迎合的デザイン

だった筈、これほどに地味に本格志向でいい

のだろうか。高校生の性向調査を踏まえての

デザイン変更なのか。彼らにそっぽを向かれ

ないことを祈ること、切なるものがある。